「第4回四国女性研究者フォーラム−女性研究者支援の継続的取組の方策−大学のソーシャル・キャピタルを育む視点から」実施報告・詳細
2013.12.13
高知大学は、平成25年12月13日(金)に「第4回四国女性研究者フォーラム−女性研究者支援の継続的取組の方策−大学のソーシャル・キャピタルを育む視点から」を、徳島大学、鳴門教育大学、香川大学、愛媛大学の協力を得て実施致しました。
開会あいさつでは、高知大学の脇口宏学長が「大学で実践し、教育につなげ、社会に広げる」ことを目指している高知大学における男女共同参画の基本理念・方針を紹介しました。
そして、男女共同参画にとって重要なことは、ライフイベントと仕事の両立をサポートする体制の下、男女が共にその特性を尊重し合い、協力し合うことであると述べました。このような取組みは、大学が資金難の時においても実施できる体制が大切であり、外部からの補助金の終了後において、どのように継続し、成果を出していくかが重要であると強調されました。
基調講演では、独立行政法人科学技術振興機構の山村康子プログラム・オフィサー(PO)から、「女性研究者支援の取組み、その継続と課題解決に向けて」と題するお話がありました。山村POからは、我が国の女性研究者支援に係る課題と取組について、両立支援及び女性研究者数を増加させる取組みについて多数の事例を取り上げながら紹介していただきました。そして、このような課題を解決するためには長期的な視点に立った取組みが重要であり、その活動を継続的に推進する部局とコーディネーターの配置が不可欠であると述べました。
招待講演では、北海道大学大学院農学研究院の有賀早苗教授から、「女性研究者を活かし、育て、支えるための戦略的支援」と題するお話がありました。
そのなかで、女性研究者支援の明確な目標は、サスティナビリティとプロモーションであり、女性研究者のキャリア継続がポジティブな状態になると、次の採用にもつながっていく。環境整備と増員策はつながっていて、女性研究者の活躍促進策の中に能力発揮の機会、活躍の場の拡大、次世代に向けた裾野拡大などが含まれるのだろう。また、女性研究者をどのように応援したらよいかということについては、課題への対応はオンデマンドであるので、一律に支援を考えるのではなく、状況に応じた支援の選択をしていくことが必要であり、ニーズにきめ細かく応じていくには支援室の継続的な活動は必須である、と述べました。
そして、活かす覚悟、育つ覚悟、支える覚悟が大切であり、大学は所属している人材、これから所属するかもしれない人材の能力を最大限に引き出す工夫、研究者自身の能力を最大限発揮できるようにする努力、そして国はプロジェクト機関、人材への不退転の投資をしていただきたいと強調されました。
パネルディスカッションでは、「自立的取組の成果と課題〜意識・組織・財政の面から〜」をテーマとし、香川大学、愛媛大学、徳島大学、鳴門教育大学、そして高知大学の各大学より報告がありました。
香川大学の長安めぐみ特任教授、石井明教授から「香大発、地域ぐるみ 女性研究者支援の高波を」と題する報告があり、石井教授からは、これまでの取組みによって女性研究者数の目標の達成も嬉しいことであるが、男女共同参画の推進を継続していく基礎となる環境整備が進んだことが何よりうれしい旨お話がありました。
愛媛大学の壽卓三教授からは、「愛媛大学女性みらい育成プラン〜学内と地域をつなぐ〜」と題する報告がありました。そして、その中で、大学における男女共同参画の推進において、自分が踏み付けにされないというエネルギーの必要性と共に、踏みつけにしないという論理をダイバーシティの推進を通じて根付かせていくことが重要である旨述べました。
徳島大学からは、山内あい子教授より、「徳島大学 AWA(OUR)サポートシステム」と題する報告がありました。これまでの女性研究者支援によって、女性研究者の学術論文数が年々上昇して最終的に66%増加、国内外の学会での講演発表数も3倍・4倍増加、科研費の採択率が39%増加し、女性研究者研究支援事業の最終年では52%の女性研究者が科研を獲得するなど顕著な成果があったことが述べられました。
鳴門教育大学の金貞均教授からは、「男女共同参画推進 鳴門教育大学の取組みと課題」と題する報告がありました。金貞均教授からは、鳴門教育大学は教員養成大学であり、女性教員の比率も2割を超えている。しかし、管理職における女性の比率や仕事とライフイベントの両立において課題がある。そのなかで、中期目標の中に、男女共同参画社会の実現に向けた総合的な取組みを推進するということを盛り込み、アンケート調査などによってニーズを汲み取りながら取組を進めていると、鳴門教育大学の現状と取組について紹介がありました。
高知大学の中川香代教授からは、平成24年度女性研究者研究支援事業の採択を受けて、その取組を始めた、高知大学における男女共同参画推進の取組みと、女性研究者支援についての具体的な活動紹介がありました。また、高知大学は来年度が補助事業の最終年であり、事業の目標を達成すること、そして補助事業の終了後も、高知大学における男女共同参画推進の取組みを継続していく方策を模索している旨報告がありました。
高知大学の藤本富一教授からは、総括コメントとして憲法学の視点からポジティブ・アクションについてお話がありました。藤本教授は日本の法律の歴史に言及され、制度・法律という「仏(ほとけ)」はつくられているけれども魂の入っていないという状態がある。ポジティブ・アクションは、どう説得して、納得して、納得できないまでも、受け入れてもらえるような取組を地道に継続していくことが重要と強調されました。
閉会のあいさつでは、高知大学の櫻井克年理事より、大学のなかにはいろいろな人物がいること、ダイバーシティが一番大事であることが述べられました。高知大学は、安全・安心機構に男女共同参画推進室を整備し、ダイバーシティを支えていく取組みを継続していく体制をつくっている。四国で同様に取り組まれている大学と協力して、より一層の大学における男女共同参画を推進していきたいと抱負を述べました。