認知症サポーター養成講座を開催しました
2013.10.30
男女共同参画推進室では、平成25年10月30日に「認知症サポーター養成講座」を、高知市健康づくり課の協力によって開催しました。
はじめに、認知症への「良い対応」と「悪い対応」についてDVDを観て確認しました。
次に、キャラバンメイトの岡田艶子氏(潮江診療所 看護師長)に、認知症の正しい理解についてお話いただきました。認知症を引き起こす病気のうち、最も多いのは、脳の神経細胞がゆっくりと死んでいく「変性疾患」です。この「変性疾患」に当たるアルツハイマー型認知症が、認知症全体の50%を占めています。認知症の症状には、記憶障害や、理解・判断力の障害などがあります。認知症になった人はもの忘れをしたり、わからないことが増えていきますが、しかし感情は残っています。このために、認知症の人と接するときは、@驚かせない、A急がせない、B自尊心を傷つけないことが大切であると強調されました。
佐藤政子氏(公益社団法人 認知症の人と家族の会 高知県支部 世話人代表)には、認知症の対応について講演して頂きました。佐藤氏は母親を18年間、姑を6年間、その間に父親を1年間介護されました。さらに二軒のデイサービスセンターを10年間運営してきました。認知症になった母親は、まず親がわからなくなり、子がわからなくなり、さらに自分の顔もわからなくなって鏡の中の自分の顔に挨拶をしていたそうです。
認知症になると色々なことを忘れていくだけではなくて、色々なことができなくなっていきます。佐藤氏の母親は介護されていた最初の13年間は歩くことができたけれども、ある日突然歩けなくなりました。そして寝たきりになり、最後は肺がんで亡くなりました。色々なことができなくなったけれども子にとって母親は母親であることに変わりはないので、普通の人と同じように接していたそうです。佐藤氏が介護の経験から伝えたいことは、認知症の対応ではその人の能力を高めることが大切だという点です。そのために佐藤氏が携わっているデイサービスでは、近所の畑を借りて認知症の人に野菜を育ててもらったり、ショッピングモールに認知症の人と一緒に買い物に行ったりと工夫しているそうです。
認知症のケアには、生きる力を引き出すことが必要です。生きるために必要なものは、家族、近所の人、医師、専門職の関わり、サービスです。そして生きる力を引き出すには、介護保険サービスに認知症の人を当てはめるのではなく、認知症の症状に合わせたケアプランを、関わりのある人が皆で考えて作成することが大切だと指摘しました。佐藤氏は「認知症施策推進5カ年計画(オレンジプラン)」の委員として、標準的な「認知症ケアパス」(状態に応じた適切なサービス提供の流れ)の作成・普及を担当しています。「認知症ケアパス」の委員として取り組んでいることは、認知症の人を支えるために家族と病院が連携するだけでなく、デイサービスなどの施設とも連携すること、さらにかかりつけ医と専門医が連携して症状の重症化を予防することです。
参加者アンケートより
回答者:34人(女性19人、男性15人)
参加者アンケートの結果によれば、「とても役に立った」と回答した者が67%、「どちらかと言えば役に立った」と回答した者が33%と、たいへん満足度が高いセミナーでした。参加者21名のうち、介護経験のある者は3名、残りの18名は介護経験はありませんでした。参加者の介護に対する不安は、第一位が「仕事と介護の両立」、第二位が「いつまで介護が続くかわからない」、第三位が「介護保険からどのようなサービスが受けられるか」についてでした。
「短い時間の中で大変わかり易い、有意義なお話でした。認知症になったらおしまいではなく、誰もが尊厳を持って、生き生きと過ごせることが理解でき、よかったと思います。地域などで少しでもお役に立つことができるようになりたいと思いました。」(女性・53歳)
「短い時間の中で大変わかり易い、有意義なお話でした。認知症になったらおしまいではなく、誰もが尊厳を持って、生き生きと過ごせることが理解でき、よかったと思います。地域などで少しでもお役に立つことができるようになりたいと思いました。」(女性・53歳)
「高齢社会に入った日本において、認知症患者は増えてくると思われる。だからこそ、私達若い世代が認知症について理解する必要はあったので、充実した講座でした。」(男性・21歳)
「介護は女性の仕事という風潮を打破するために男性の話も聴講したいと思います。」(男性・58歳)