大学紹介

平成27年度 高知大学卒業式告辞

 卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。教職員を代表してお祝い申し上げます。
 保護者の皆様には、お慶びもいかばかりかと、推察申し上げますとともに、心からお祝い申し上げます。
 また、ご多忙のところ、ご臨席賜りましたご来賓、関係者の皆様に対しまして、高知大学を代表してお礼申し上げます。
 はじめに、皆さんに感謝の気持ちを伝えたいと思います。昨年卒業した学生諸君の中の4人と学長室で昼食を共にしたのがきっかけで、2013年4月に「学長めし」という企画を始め、昼食を取りながら、たわいのない世間話から学生生活の話、学生諸君と高知大学が抱えている課題などについて、皆さんや皆さんの後輩から、学生の視点で、鋭い本音の意見を聞かせてもらい、皆さんの意見を大学経営に活かしています。今ここにいる皆さんの中にも、「学長めし」に参加して下さった方がいるはずです。この「学長めし」で皆さんと交流することで、皆さんが高知大学の改革を応援してくれていると感じ、それがエネルギーとなって、とても心強い思いで全学的教育組織改革を進めることが出来ました。その最初の成果が、実に38年ぶりの新学部にして、今、多くの国立大学が改革の参考にしている「地域協働学部」の設置であります。この「地域協働学部」の新設に伴う一連の改革によって、平成26年度の業務実績評価では「最高点」を獲得し、マスコミにも大きく取り上げられました。これらの改革が現在進めている教育改革にもつながっております。「高知大学の経営・改革」に、皆さんの意見が大きな力になっているのです。本当に有り難う。
 さて、皆さんが授与された「学位記」は、皆さんのたゆまぬ研鑽と、その素晴らしい成果の証明であり、これから社会で活躍出来る高い能力を修得していることの証であります。ご家族や教職員の支援と指導があったとはいえ、「学位記」は皆さん自身の努力の賜であります。そのことに大きな誇りを持ち、胸を張って高知大学を巣立って下さい。皆さんは、ご家族の誇りでありましょうが、私たち教職員にとっても大きな誇りであり、大切な宝であります。
 皆さんは、国立大学の卒業生です。それは、皆さん一人一人が、この国の、この社会のリーダー候補生であることを意味しております。そして、皆さんを支援して下さったご家族をはじめ、日本国民の皆さんに感謝し、皆さんが修得された高い能力を、社会に還元する責務があるということでもあります。国立大学の使命は、学生諸君に自分と自分の周りだけではなく、国や社会も幸せにする能力を修得させることであり、高知大学はそれを実践していると自負しております。皆さんは、胸を張って、精一杯生き抜いて幸せな人生を送り、現在と未来の家族のどちらも幸せにして下さい。その上で、日本の社会をさらに豊かな国に発展させるために、尽力して下さることが、私たち教職員が皆さんに期待することであります。必ず、幸せな人生を送って下さい。
 ただ、一般論として気になっていることがあります。それは、第1志望の会社から内定を得られなかった場合、第2、第3志望の企業から内定を得ても、辞退する若者が増加しており、入社しても不本意入社で長続きしないということであります。その結果、就職留年や就職浪人が増加しているということがマスコミで報道されております。
 皆さん、人間には凄い適応能力があり、自分自身、そして組織や社会さえも、自分たちの力で変えてゆく能力を持っていることを覚えておいて下さい。「石の上にも3年」という如く、3年間同じ場所で頑張れば、そこが本来の自分の居場所、あるいは第1志望の仕事であると思えるようなプロフェッショナルにもなれます。何でもかんでも我慢しろというつもりは毛頭ありませんが、就職先が、仮に第1志望ではない場合でも、人や組織との「出会いと縁」を大切にして頑張ってみると新たな世界が開けてくるということを、人生の先輩として伝えておきます。
 皆さんは、これまでも多くの試練を乗り越えて来られたと思いますが、高校や大学で経験された試練や苦難は、社会の荒波の大きさとは比べようもありません。社会では、大学とは全く異なる文化や価値観にも遭遇し、悩まれることも一度ならずあることでしょう。幼稚園、小学校、中学校、高等学校、大学と順々にハードルが高くなる試練を乗り越えられ、そして、高知大学で学んだことで、皆さんの能力は格段に向上したはずです。その結果、今日という日があり、皆さんが将来、大きな試練に直面したとしても、高知大学で学んだことを糧にして、必ず乗り越えて下さると信じております。
 ただ、一人では乗り越えることが困難な試練も多いと思います。その時には、周りの誰かに相談して、助けを得ることをためらわないで下さい。人は、誰かに寄り添い、誰かと助け合いながら生きているのです。「人生の始め、子どもの時には、生きるために誰かの助けを必要とする。人生の終わり、年をとっても誰かの助けを必要とする。そして大切なことは、その中間でもやっぱり人の助けを必要とする。」という言葉があります。人はいつも誰かを必要とし、誰かに助けられており、同時に、誰かに必要とされ、誰かを助けているのです。つまり、お互いに助け合っているということです。困難に突き当たった時には、まずは自分の能力を信じ、同時に、仲間や家族を信じて助けを求めて下さい。誰かに頼ることは、人間の特権であり、頼り上手は大きな才能であります。
 最後に、皆さんの人生が、さらに光り輝くものであることを願い、そして、皆さんが、高知大学の源流とも言うべき旧制高知高等学校の誇り高き精神を受け継ぎ、高知大学で学ばれたことに誇りを持ち続けて下さることを願い、感激と理想について格調高く謳っている旧制高知高等学校初代校長 江部淳夫先生の告辞の一節を餞の言葉として皆さんに贈り、学長告辞とします。


 感激あれ若人よ
 感激なき人生は空虚なり
 汝らが前に 高く高く理想を掲げよ
 さすれば
 道は坦々として 汝らが前に拓けん
 唯 進めば足りる

 繰り返します。
 感激あれ若人よ、感激なき人生は空虚なり。汝らが前に、高く高く理想を掲げよ。さすれば、道は坦々として汝らが前に拓けん。唯、進めば足りる。
 卒業おめでとう。

  

平成28年3月23日
高知大学
学長 脇口 宏

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