【えんむすび隊】ジネンジョ(自然薯)植え付けで中山間地域の暮らしと食を知るin安田町

2018年5月12日
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 5月12日土曜日、えんむすび隊16名が安田町中山地区にお邪魔しました。
 天気は晴れ、最高気温は24℃。少し日差しが強いものの、風が気持ち良いえんむすび隊日和です。
 
 安田川を河口から7キロほど北上したところにある「集落活動センターなかやま」では、地域のみなさまが耕作放棄地でのジネンジョ栽培に取り組んでいます。2014年から高知大生も毎年植え付けのお手伝いに伺っており、今年は当初の4倍となる約80平方メートルの面積の植え付け・整備を行うと共に、地域のお母さんたちとそれぞれの「食卓の風景」について話し合うワークショップを行いました。
 到着後、学生たちは二手に分かれてジネンジョ植え付けと、昼食となる郷土料理の調理体験に取り掛かります。
 
 植え付け作業では地元の高校生たちと一緒に、慣れない手つきでくわを振るい種芋を植え始めましたが、一畦が終わる頃にはてきぱきと作業を行えるまでに上達していました。
 ジネンジョの種芋は「むかご」から1~2年かけて育てたもので、これを植えて食用の大きさになるまで育て、収穫します。また、植え付け方も随所で工夫が凝らされていて、たとえば収穫の際、種芋を地面とほぼ水平になるよう、トタンを敷いた上に植え付けます。こうすると、ジネンジョが下へ下へと伸びず、収穫の際に労力をかけずに掘り出せるそうです。
 そしてもう一つ、種芋の上に赤土を乗せて、さらにその上から土で覆うように植え付けます。これは、赤土の鉄分で土壌を殺菌し、ジネンジョの病気を防ぐためのものだそうです。
 コツの要る作業でしたが、学生たちは作業工程のねらいや理由を地域のみなさまから教わり、時には驚きながら全ての畦を植え付けていきました。 
 
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 昼食づくりでは「田舎寿司」と呼ばれる高知独自のリュウキュウ、ミョウガ、シイタケ、タケノコ、こんにゃくを使ったお寿司づくりを任され、巻きすの扱いに四苦八苦しながらもきれいなお寿司を完成させました。
 それぞれ奮闘した後は、ずらりと皿鉢(大皿)に並んだ郷土料理を囲み、楽しい昼食の時間です。田舎寿司はもちろん、ジネンジョをお団子にした「じねんじょ汁」や、野菜のてんぷら、水のきれいな安田町だからこそ食べられる「うるか」(アユの内臓)など、学生たちは初めて見る料理に目を丸くしながらも、地域の方たちとの会話に花を咲かせながらお腹いっぱいになるまで舌鼓を打っていました。
 
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 ひと休みした後は、再び二手に分かれて畑仕事とワークショップです。
 植え付けが済んだ畦を、農作業機械で高く盛り上げていくとともに、芋づるのための支柱をせっせと運び、設置していきます。作業の済んだ畑は整然としていて、アートのようにも見える美しい風景でした。
 ワークショップでは「安田町の食卓ってどんなだろう?」と題し、地域のお母さんたちとそれぞれの食卓について語り合い、「昔は冷蔵庫がなかったから食べ切れるだけの食べ物しか置いていなかった」「スーパーがなく、自分の家で育てたもの、取ってきたものを食べるのが基本だった」などの世代間での違いに驚くとともに、食卓のあり方や自分たちの食に対する姿勢などについて思いを巡らせていました。
 
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 今回、学生たちは安田町の食を作り出すところから食卓に上るまでを体験し、聞いて、垣間見て、心を動かされたようです。お世話になったみなさま、本当にありがとうございました。
 以下に、参加した学生の声を一部ご紹介します。
 
●人文社会科学部 人文社会科学科国際社会コース 3年 女性

 まず、安田町は地域の人々のつながりが強いなと感じました。私は午前中の調理班を担当したのですが、調理1つについても安田町の伝統をすごく感じました。調理の伝統だけをとってみても、ここまできちんと継承されているのは、やはり世代間交流が盛んであったり、地域コミュニティがしっかり形成されている成果であると感じました。
 次に、食について感じたことは、歴史を追うごとに食の形態は変わっていきますが、食を楽しむという場は失ってはいけないものだと考えました。現在は1人でご飯を食べたり、テレビをつけながら家族と一緒にいても無言で食べたりという家庭が多いと思います。しかしそうではなく、食を通じて会話の場をつくったり純粋に食事を楽しむことは失ってはいけない文化だと考えました。
 
●農林海洋科学部 農林資源環境科学科 1年 女性
 
 じねんじょの植え付け作業をみんなで一緒にやって、初めてだったけど、なぜ赤土をかぶせるのか、なみ板を敷くのかなど、植え付け方法だけでなく、その理由まで知れたのでよかったです。くわの使い方など、教えてくれる人によって、やり方が違っていたのが面白かったです。
 ワークショップで地域の方の子供の頃の食卓のお話を聞いたりして、今とは違った食卓のお話におどろくことも多くとてもおもしろかったです。
 安田町中山地区のみなさんはすごくあったかい方ばかりで優しくして下さり、今日一日とても楽しかったです。また来たいと思いました。
 
●農林海洋科学部 農林資源環境科学科 3年 男性

地域によって、食・環境・人々に“あじ”のようなものがあり、おもしろいと感じました。それと同時に、どの場所に行っても、変わらない人々のあたたかさ、生活の知恵があると思いました。地域の方が、学生をあたたかく迎え入れてくださることは、本当に感謝なことだと思いました。

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