高知大学避難所運営研修会を開催しました!

2014年8月6日
 

8月6日(水)に開催された高知大学避難所運営研修会の様子を教育学部4年の伊藤創平くんがレポートしてくれました。

 ぜひご一読ください。

 

☆・。*

 

高知大学避難所運営研修会報告

伊藤創平(地域支援計画検討WG メンバー)

 

 一学期最終日8 月6 日(水)に高知大学で、教職員、学生、地域住民を対象とした避難所運営に関する研修会が開かれました。この研修会は、高知大学の災害時の対応を考える地域支援計画検討ワーキンググループが「避難所」としての大学の役割を考えるために企画したものです。

 はじめに、福島大学災害ボランティアセンターの伊藤航さん(大学院生)から『学生の視点から見た避難所運営−ここは「日本一」の避難所だ−』と題した講演を頂きました。福島大学は3.11 直後に避難所として沿岸部から数百名の避難者を受け入れた日本で数少ない大学です。災害対応を専門とする教員を中心に、避難者や学生たちが協力してうまく運営がなされた例としても学ぶ部分が大きかったように思います。特に災害時の職員の役割について『被災大学は何をしてきたかー福島大、岩手大、東北大の光と影ー』(中井浩一著、中公新書ラクレ)を参考に詳しくお話いただきました。福島大学では、退職間近の職員さんがここぞと言わんばかりにリーダーシップを発揮し、周りの職員さんも巻き込んでくれたそうです。

 高知大学では数千人規模の避難者が見込まれる為、1 人の職員のリーダーシップだけでは難しい。どれだけそういったリーダーシップの取れる職員さんが各部署から出てくるかというのがポイントになるのかもしれません。

 このような講演を聞いて避難所の具体的な状況や考え方を学んだ後、実際に運営を机上でできるゲームを行いました。このゲームは、参加者が避難所運営者という設定で、避難者カードを避難所(体育館や教室)の図面に振り分けていくというものです。カードには「大学職員35 才足に怪我」というような状況が書かれており、それぞれのニーズに合わせて適切な避難者対応を迫られます。加えて、ゲーム内の時間も実際のように進んでおり、参加者での合意が遅くなれば避難者の状況が悪くなり、「トイレが溢れて使えません」などのイベントが発生します。このように全体のリスクと個人のニーズを天秤にかけながらより良い選択をチームで行っていきます。

 参加者のゲームの状況を見て、講師の伊藤さんは「避難所をリアルに再現出来ている」としながらも、実際は避難者がカードではなく人なので、「より多くのコミュニケーションのトラブルが予想される」「避難者の見た目や社会的立場だけでの判断では対応を間違える事もある」などと体験者ならではのコメントをされていました。参加者からは「想像より過酷」「まずは、一人一人の備えが大切」などの感想が聞かれました。

 ゲームが終わった後、伊藤さんから福島大学避難所の「解散式」の映像の紹介とまとめのコメントが有りました。そこで、避難生活が続くにつれて避難所が「誰かが居る」「安心できる」場所となっていったこと、避難者が帰られる際に、一人一人が気持ちよく暮らせる「日本一の避難所」だと伝えられたことなどを紹介してくれました。

 被災直後の復旧期は「地域力の抜き打ちテスト」と言われ、被災者間の助け合いや協力といったものが試されます。こと避難所は「地域社会の縮図」と言われ、日頃のつながりが薄い地域などでは運営への非協力やコミュニケーションミスを生み、より深刻な状況に追い込まれるケースもあるそうです。逆に、運営が避難者に寄り添った形でうまく回った福島大学などのケースでは、日常よりも人と人とのつながりが感じられたということもあるようです。今回の研修会で、避難所を少しでも身近に感じ、やり方次第で後者のような温かい場所になり得ると伝えることで、前向きに避難所を捉えてもらうことができたのではないかと感じています。

 

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(写真:伊藤氏の講演の様子)

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(写真:ゲームの様子)

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