【留学体験記】その後の「うるるんタイ在記」:第4回 日泰"コミュニティ"考(太尾郁恵さん)

2014年2月20日
 

立命館大学とタマサート大学のコラボ学習も終わり、私たちはもう一度村に帰りました。 

 バンコクにいる間、スラム街や国から補助を受けながら生活している地域のコミュニティを見てきました。一度、村の外に出て他のコミュニティを体感することで、Jam Rung村に対する関心度はさらに高くなりました。

 

 ここからは、タイで携わったJam Rung村と大学一年生の頃から携わっている高知県の四万十市西土佐地区中組集落の違いや共通点をポイントに置き、それぞれのコミュニティについて整理していきたいと思います。

 

◎Jam Rung村

住民同士がつながり、地域資源を事業化し観光面に活かしているJam Rung村。最大一日600人もの観光客が来るJam Rung村では、観光客と地元の人との交流も盛んでした。観光客は、主に企業の研修や自治体の旅行が目的で訪れていました。

特に記憶に残っているのがバスから降りてくる人たちの目がいつも輝いたこと。Jam Rung村に対してワクワク感を抱いているのだと感じました。

しかし、観光客が常に来続けることは大変難しいと思われます。観光客が観光地に対して求めるニーズも多様化してきていると考えられます。いつも、大人数のお客さんたちの期待値を上回り、満足して帰ってもらえているからこそ、Jam Rung村には観光客が常に来続けているのだと思います。途切れず、観光客が来ているということは、受け入れる側(Jam Rung村)の体制になにか秘訣があるのでしょう。

村内を散策するときにはバスが用意されており、地域内の産業や地域資源を紹介します。狭い道や林道を走るバスは、まるでアトラクション!ホームステイをする場合はコミュニティセンターで夜ご飯をみんなで食べて、カラオケを行い地域住民と一緒に踊ります。そして帰るときは、みんな揃って、Jam Rung村で販売しているTシャツやお菓子を大量購入し、両手いっぱいに商品を持って笑顔でバスに乗っていました。

 これだけのことを毎日行うとなると、受け入れ側のJam Rung村の体制はとても大切です。そこで、Jam Rung村では、週に一回程度ミーティングを行っていました。役割分担を地域内で決め、グループごとにミーティングが開催されます。それだけでなく、住民は日頃からコミュニティセンターに集まっています。地域資源を活かし、地域住民の雇用にもつながっているJam Rung村の取り組みはとても横のつながりが強いと感じました。みんながまるで一つの大きな家族のように接している様子に、羨ましさやどこか懐かしさを感じたように思います。きっと、昔の日本でもこのような環境があったのではないかと。Jam Rung村では、昔と今の良さを取り入れながら生活をしているようでした。 140220-1.jpg

 

◎四万十市西土佐地区中組集落

 四万十市西土佐地区中組集落は愛媛県境の集落で、宇和島市には車で40分ほどで行くことができます。昔は、養蚕、米、栗、椎茸を、現在は、米、シシトウ、小ナス、米ナス、菜花、インゲン豆を栽培し出荷しています。中組集落の課題は、高齢化率約50%で、このまま進むと地域の活動の維持が困難となってくること。そのため、集落の人口減少を抑え活力ある集落を目指すために、地域興しの取り組みを行いました。

 市の地域集落再生事業の指定地区として、大学との連携事業が始まりました。学生は村歩きや地区の方との共同生活を通して地域資源を見直し、地区で昔から母の味として食べられていた“ふわふわとうふ”を発見しました。“ふわふわとうふ”とは、豆腐を固める前の段階のもので、ぽん酢や醤油を好みでかけて食べます。この“ふわふわとうふ”を切り札に店頭での実演販売や企画・運営・地域の食材イベントへの参加を行ってきました。いずれも村の特色がわかるような広告や宣伝方法を学生と地区の人たちが考え実践した結果、たくさんの人たちに知ってもらうことができました。これらの活動を通して、中組集落に関わる学生が増えたことや、地区の人たちも定期的に集まるようになったようです。このことは、地縁型コミュニティの再生にもつながり、会う度に元気になっている地区の方々を見て、私たちはもちろん、中組集落の方と出会った人たちはみんな元気をもらっていると思います。

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 中組集落は、Jam Rung村のように、観光客がたくさん来るわけではありませんが、しかし、地域づくりに関して、共通している点はあります。

 

 ・地区内外のつながりを大切していること

 ・地域資源を活かし、社会的価値を生み出していること

 

 それぞれの地域住民は、活き活きと楽しそうに生活をしています。生活環境や文化などは違うかもしれません。しかし、私が考える地域づくりの一番大切なこと「地域で生活している人たちが地域に対して誇りを持つ」はどちらの地域でも言えます。この「誇り」を持つためにも、つながりはとても大切であると感じました。

この共通点から学んだことや私の将来とのつながりについては、次回に詳しく書きたいと思います。

人文学部4年 太尾郁恵

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