【留学体験記】その後の「うるるんタイ在記」:第3回 立命館大学とのコラボ授業 in タイで"コミュニティ"を考えた(太尾郁恵さん)

2013年12月11日
 

 2013年8月29日頃、村を一度出て、バンコクに向かいました。
 なぜかというと、お世話になっているタマサート大学学生と立命館大学学生のコラボ学習に参加するためです。約10日間、今度は、タマサート大学の寮での生活が始まりました。
 
 先輩方から『寮には蚊がいっぱい、携帯電話の光に集まる!』と聞いていましたが、私が、蚊よりもはるかに驚き、怖かったのは…。
それは、ヤモリとムカデによく似た虫の異常なまでの多さでした。天井から“ポタっ”と落ちてくる感じが、なんとも言えません。部屋のなか、お風呂場、トイレ等、いろんなところに出没します。
 しかし、私は、村での生活に慣れていたこともあり、嫌なりにも、自分で虫に対処できるようになっていました。それが、普通だと思っていたのですが、立命館大の学生たちが初めて寮に泊まった日、叫び声が聞こえてきました。その時が「私、少し成長したかも?」と思った瞬間でした。お湯のでないシャワーに、ヤモリとの共同生活、タイ語しか聞こえないテレビ。当たり前じゃなかった生活に、自分から合わせていられるようになっていました。その土地に慣れることの大切さ、そしてまた、日本の便利さを感じました。

   コラボ学習の内容は、エビの養殖調査とスラム街などの低所得者コミュニティ調査の二つの班に分かれて行いました。
 私は、コミュニティに興味を持っていたので、スラム街などのコミュニティ調査の班に同行させていただきました。今までの大学生活では、農村や商店街、都市といったコミュニティには実際入り込んだことはありましたが、スラム街のような地域の視察は初めてでした。
 調査をするために、ドゥアン・プラティープ財団やCODI(Communtiy Organizations Development Institute)“public organization”を訪問しました。ドゥアン・プラティープ財団は、一日1バーツ学校(日本2.5円)を設置し、スラム地区の子どもたちなど学校にいけない子供たちの教育に力を注ぐ団体です。

131211-1.jpg
 

   視察をした後は、実際に、バンコク市内で一番大きい規模だと言われているスラム街に連れて行ってもらいました。家と家の距離が狭く、歩く道がじんわりと湿っているようでした。家の前で飼われているウサギや犬は毛がなかったり、目の色が少し違っていたりしていました。家の中を見せていただくと、大きな薄型のテレビやパソコンなどが置いているところもありました。 

131211-2.jpg
 

 正直、今まで見たことのない生活や文化に衝撃を受けました。しかし、この時わかったことは、お金がないからスラムに住むのではなく、働く場所があるからスラムで住んでいる人たちがいるということでした。そして、これらの場所でも、コミュニティは存在していました。密集した家並みのところどころにおかず屋やお菓子屋、バイク屋などがありました。
 地域が変われば、生活環境・文化が変わります。そして、その背景によってコミュニティが変わること。住んでいる人によってコミュニティが変わるだけでなく、コミュニティによってもそこに住んでいる人たちが変わることがあるんだと気づきました。

 この10日間で一番心に残った一言は、地域のコミュニティリーダーがおっしゃってくれた“世代を超えて協力することがこれからのコミュニティを発展させる”です。たしかに、私が見てきたタイのコミュニティは、家と家の垣根が低く家族同士がとても仲の良い印象があります。みんなで一人一人の健康、安全管理を行っているようにも見えました。そこに、安心という文字が隠れているように思います。そのことがコミュニティをさらに強めているような気がしました。 

文学部4年 太尾郁恵

お問い合わせ

コラボレーション・サポート・パーク
電話:0888448932
コラボレーション・サポート・パーク
  • COC+ロゴ(小).jpg