【留学体験記】グラッツェミーレ!イタリア 第6章 自分から動く -市場巡り、インターン、研究旅行、さまざまなことにチャレンジ-
チャンスはいたるところにある。
それがイタリアで学んだ最大の成果かもしれない。
僕は1年生のころから、地域協働と名のつくフィールド主体の授業をたくさん受講した。授業を通じ、地域に入り自ら課題を見つけ課題解決に向けて取り組むこと、また取り組みの中から主体的に学ぶことにずっと取り組んできた。
農業のキツさ、市場の出店者さんの働き方、地域の人びとの思い、すべてから学ぶことがたくさんあった。
イタリアにいても僕の学び方は、泥臭く地域に入り、ともに働くなかで学ぶこと!
それを変えてはいけない、いやそれしか出来ないのだと思う。
僕が高知大学で身につけた学び方であるといえるだろう。
「やればいいじゃん」が僕の師匠の口癖であり、僕のモットー(目指している)でもある。
いろいろな市場を訪問し、語学力の問題上なかなかヒアリングはできなかったが、市場利用者の構成や行動の特性などを調べることに取り組んだ。これは後々書くことになる論文の研究材料となった。
そして僕はイタリアに行く前から地域でのインターンに挑戦したいという気持ちが強かった。でも、何より語学の壁が立ちはだかる。
本当は不安でいっぱいだったが、とにかく挑戦をしてみることにした。
はじめは近所の市場で働いている畜産農家さんの家に泊まり込みで働かせてもらえないか、と交渉をしてみた。
しかし…
「牛は育てられるか?」-無理
「豚の出産をさせられるか?」-無理
「どんな野菜を育てられるのか?」-ほうれん草、でも英語でなんて言うかわからない…。
「イタリア語は大丈夫か?」-あいさつは覚えました…。
これらの質問の前に挫折してしまった。
少し考えが甘かったと反省した。見ず知らずの何もできない日本人を快く受け入れてくれるわけがなかったのだ。
今までは、先輩たちが切り開いてくれたフィールドだからこそ、農業やイベントができただけであったのである。
いろいろと交渉に試みたが、語学や能力のなさが災いした。
どれも話が上手く進むことはなかった。
最終的には友人のティッツィアーナのおじさんがオーナーをしているワインヤードで働かせてもらうよう交渉し、受け入れてもらうことが決定した。
インターンとして正式に受け入れてもらうまで本当に苦労した。
保険やさまざまな証明書…。日本にいた先生たちのサポートを受け、ようやくサンタ・マリア・ラ・パルマというワインヤードでのインターンが始まった。
ここでも難しかったこととして、今までインターンを受け入れたことがないから何をしてもらったら良いかわからないという問題があったのだ。
椅子に座っていれば時間は過ぎる。でも自分は、受け入れをしてくれた人たちに恩返しがしたい。せっかくのチャンスを生かしたいと思った。
一通り工場の中を案内してもらった後に、自分にできることを探してみた。
結局、ワインのラベルを貼るという仕事を見つけ、それに必死に取り組んだ。
基本的に機械でラベルを貼るのだが、レストランなどから特注で異なったラベルでの注文を受けたときは、機械を通して作業をすると効率が悪くなるために手作業で貼るのだ。簡単な仕事だが、自分で見つけた仕事である。黙々とこの作業に取り組んだ。
自分の仕事を自分で見つけてやる!
人から見れば本当に簡単な作業であったが、僕にとっては今までのどんな作業よりも誇りや感謝の気持ちを持って行えたのではないかと思う。
このインターンを通じて、大きく成長できたように思う。
ちなみにサンタ・マリア・ラ・パルマのワインは日本にも輸入されている。
もっとも有名なブランドはスパークリングワインのアラゴスタ。
皆さんにぜひ手に取ってほしい。
最後にはオーナーとがっちり握手をし、サーティフィケーションを貰うことができた。
お土産においしいワインを貰うこともできた。
ほんとはみんなにお世話になりっぱなしで、会社の役には立ててないのかもしれない。
でも、自分から動きだして本当に良かったと思う。
このサーティフィケーションは宝物である。
この他にも、パオラ先生の受け持つ授業のメンバーで行われた、グラードの調査にも同行した。
とにかく、チャンスがあると思ったら全部、
「行きたい!」
と言ってみた。英語が聞き取れなくても、チャンスと思えばYES!
この自分から動くことは、本当に僕の留学生活を実りあるものにしてくれたと思う。
ただし料理だけは、どうしても上手くならなかった。
(第7章へ続く) 人文学部4年 浅川直也