◆医学部医学科微生物学講座の樋口智紀講師及び大畑雅典教授らの研究グループの研究成果が国際誌『Cancer Science』に掲載されました

2023年3月20日

 医学部医学科微生物学講座の樋口智紀講師及び大畑雅典教授らの研究グループの研究成果が、日本癌学会の国際誌『Cancer Science』に掲載され、2023年3月10日に電子版が公開されました。

 

 ほとんどの健常成人に持続感染するEBウイルス(Epstein–Barr virus:EBV)は、長期的な慢性炎症が存在すると、その部位にリンパ腫を発症させることがあります。

 これまでに本研究グループは、このタイプのリンパ腫が腫瘍細胞を排除する免疫監視システムから免れる術をもつことを見出しています(Cancer Letter 453:184-192, 2019)。このことから、このタイプのリンパ腫は難治性であることが多く、新たな治療アプローチが求められていました。

 今回、本研究グループは、慢性膿胸から発生するリンパ腫をモデルに解析した結果、リンパ腫がケモカイン(※1)CXCL9とCXCL10を分泌し、その受容体(※2)であるCXCR3をもつ腫瘍傷害性リンパ球を腫瘍部位に引き寄せることを突き止めました。

 この発見は、誘引された腫瘍傷害性リンパ球によってリンパ腫細胞を排除できる可能性を示しており、EBV陽性慢性炎症関連リンパ腫の新規治療法につながることが期待されます。

 本研究は、近畿大学薬学部 中山隆志教授らの研究グループとの共同研究です。

 

<論文名>EBV-positive pyothorax-associated lymphoma expresses CXCL9 and CXCL10 chemokines that attract cytotoxic lymphocytes via CXCR3

<和訳>EBウイルス陽性膿胸関連リンパ腫はケモカインCXCL9とCXCL10を発現し、CXCR3を介して細胞傷害性リンパ球を引き寄せる

 論文掲載URL:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/cas.15782

 

(※1)ケモカイン…白血球の遊走を誘導するタンパク質のこと。

(※2)受容体…細胞の表面にあり、細胞外の物質を選択的に受容する物質の総称。ここではケモカインの刺激を受け取るタンパク質のこと。

 

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