◆大学院総合人間自然科学研究科医学専攻の西森大洋さんと医学部微生物学講座の大畑雅典教授らの研究グループの研究成果が、『Cancer Medicine』に掲載されました

2021年12月9日

 大学院総合人間自然科学研究科医学専攻の西森大洋さんと医学部微生物学講座の大畑雅典教授らの研究グループの研究成果が、国際誌『Cancer Medicine』に掲載され、2021年11月24日に電子版が公開されました。

 リンパ腫の中には、体腔液中に原発し、リンパ節腫大や腫瘤を形成しないユニークな悪性リンパ腫があります。これは原発性体腔液リンパ腫と呼ばれ、ヒトヘルペスウイルス8(HHV8)というウイルスが原因です。わが国で発症するリンパ腫の多くの症例がHHV8陰性であり、適切な解析モデルが存在していなかったため、HHV8陰性体腔液リンパ腫の病態や治療法については不明な点が多く残されていました。

 本研究グループは、HHV8陰性体腔液リンパ腫細胞株を樹立し、特殊な前処置を施したNOD-SCIDマウスに移植した結果、患者体内で認められる特徴的な現象(リンパ腫細胞を浮遊する体腔液の貯留)を再現することができる世界初の異種移植動物モデルの確立に成功しました。次に、このモデルを使って有効な新規制御薬の探索を行った結果、癌遺伝子c-MYCの発現を抑制する薬剤birabresibが腫瘍の促進や体腔液の貯留を有意に阻害することを突き止めました。

 本研究成果は、標準治療が確立されていないHHV8陰性体腔液リンパ腫の治療に新たな知見を提供するものであり、この動物モデルはさらなる治療薬の開発に大きく貢献できることが期待されます。

 

<論文名> Development of a novel cell line-derived xenograft model of primary herpesvirus 8-unrelated effusion large B-cell lymphoma and antitumor activity of birabresib in vitro and in vivo

<和訳> ヘルペスウイルス8型陰性体腔液大細胞型B細胞リンパ腫の新規細胞株移植モデルの開発とbirabresibのin vitroおよびin vivoにおける抗腫瘍効果

 

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