◆医療学系基礎医学部門の樋口琢磨助教、坂本修士准教授らの研究成果が、英国オックスフォード大学出版局刊行の科学誌「Nucleic Acids Research」に掲載されました

2020年6月10日

 医療学系基礎医学部門の樋口琢磨助教、坂本修士准教授らは、フランスのInstitute of Human Genetics, University of MontpellierのDr. Kiernanらとの共同研究により、マイクロRNA( miRNA )生合成制御と共役したスプライシング調節において新たな知見を得、その研究成果が英国オックスフォード大学出版局が刊行する「Nucleic Acids Research」(令和2年5月19日付)に掲載されました。
 本研究チームは以前、核酸切断酵素Dicerを対象に、二本鎖RNA結合タンパク質Nuclear Factor 90( NF90 )が、mRNA前駆体のイントロンに存在するmiRNA初期転写産物( pri-miRNA )に結合し当該pri-miRNAのプロセッシングを抑制することで、結果として当該mRNA前駆体のスプライシングが促進されることを見出しました( Cell Research 2018 )。
 今回の研究では、全ゲノム対象にNF90が結合するpri-miRNAが同定され、同定されたpri-miRNAの多くが、イントロンに存在することが分かりました。加えて、NF90の発現低下により、同定されたpri-miRNAを有するmRNA前駆体からのmRNAの産生が低下することも見出されました。また、当該pri-miRNAは「ミスマッチの少ない安定した二本鎖構造」という構造的な特徴を有することも明らかとなりました。これらの解析により、mRNA前駆体のスプライシングには、イントロンにおけるRNAの二次構造形成が関与する可能性が見出されました。
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