名古屋大学大学院環境学研究科、高知大学理工学部の研究グループが、湖底でのチャート層生成メカニズムを解明しました

2019年11月12日

 名古屋大学大学院環境学研究科博士後期課程の 隈 隆成 さん、高知大学理工学部の 長谷川 精 講師らの研究グループは、米国ユタ州に分布する5千万年前の湖の地層を調べ、これまでは謎だった湖底で硬いガラスの層(チャート層)ができるメカニズムの解明に成功しました。
 チャート層は、通常、海洋堆積物の地層で多く見られ、日本各地にも広く分布しています。海洋堆積物中のチャート層は、放散虫と呼ばれるガラス質(SiO2)の殻を持った生物の遺骸が集積してできています。一方で、湖の地層にもチャート層が見つかることがあります。しかし、湖でできたチャート層には、ガラス質の殻を持った生物遺骸が含まれておらず、湖でチャート層ができるメカニズムが長年の謎でした。
 同研究グループは、米国ユタ州に分布する5千万年前の湖の地層(グリーンリバー層)を調査し、この地層に見られるチャート層には、藻類が繁殖したことを示す有機物が多量に含まれていることを発見しました。そして、藻類の有機物が湖底で腐食した際に、湖水に溶け込んでいたガラス質(ケイ素)の成分が急速に沈殿し、チャートが形成されたことを明らかにしました。湖底でのチャート層の形成には湖水のpH(酸性・アルカリ性度)が関係することは以前から指摘されていましたが、本研究ではそれが藻類の繁殖と湖底での有機物分解によって生じたことを、世界で初めて実証しました。
 さらに、チャート層は一定の周期性で形成されており、その頻度は太陽黒点周期と一致する約100年、200年、1000年毎に起こったこともわかりました。このことから、太陽活動の周期的変化が藻の繁殖量を変化させ、それがチャート層の形成を引き起こしたことを明らかにしました。

 この成果は、令和元年11月11日付(日本時間19時)英国科学雑誌「Scientific Reports誌」オンライン版に掲載されています。

 2019年11月8日付け、名古屋大学及び本学からの共同プレスリリースの内容はこちらをご覧ください。

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