自然科学系理学部門 長谷川講師ら研究グループによる5億5千万年前の生物進化に関わる世界最古の巣穴化石を発見した研究成果が、英国科学雑誌Royal Society Open Scienceに掲載されました。

2018年3月1日

 本学自然科学系理学部門 長谷川精講師が参加する名古屋大学の古生物学研究チームは、モンゴル西部のエディアカラ紀後期(約5.5億年前)の地層から、海底下に潜入する生物の巣穴化石を発見しました。
 この巣穴化石は泥質石灰岩の地層の中に多数発見され、地層面(すなわち当時の海底面)からは丸いパイプ状の穴として見られますが、中ではU字状に曲がってつながっています。そして、この構造が当時の海底面の下に、少なくとも4cm潜って生活していた動物の巣穴であることが分かりました。
 この発見により、従来カンブリア紀(5.4億年前以降)に起きたと考えられていた「カンブリア紀の農耕革命」、すなわち、動物による活発な巣穴形成と海底のかく乱が、モンゴル西部では、より早くエディアカラ紀に始まっていたことが初めて明らかになりました。このような巣穴を形成する動物は、前後に伸び、一方で摂食を行い、他方で排泄を行う運動性を持った動物であることが推察され、左右相称動物がエディアカラ紀に存在したことを強く示唆しています。カンブリア紀の動物の爆発的出現と多様化は、ダーウィン以来の生物学上の謎として知られていますが、今回の発見は、この進化の大事件の実態解明において重要な知見となると考えられます。
 この研究成果は、平成30年2月28日付(日本時間9時01分)英国科学雑誌Royal Society Open Science誌電子版に掲載されました。

 

詳しくは、名古屋大学HPのこちらをご覧ください。

 

【論文情報】

論文名:Penetrative trace fossils from the late Ediacaran of Mongolia: Early onset of the agronomic revolution

 

著者:Tatsuo Oji, Stephen Q. Dornbos, Keigo Yada, Hitoshi Hasegawa, Sersmaa Gonchigdorj,

    Takafumi Mochizuki, Hideko Takayanagi and Takafumi Iryu
    大路 樹生(名古屋大学博物館)、ドーンボス・スティーブン(ウィスコンシン大学)、

    矢田 圭吾(元名古屋大学環境学研究科大学院生)、長谷川 精(高知大学)、

    ゴンチグドルジュ・セルスマ(モンゴル科学技術大学)、望月貴文(岩手県立博物館)、

    高柳 英子(東北大学)、井龍 康文(東北大学)

 

掲載雑誌:Royal Society Open Science 5: 172250.

 

論文掲載HP:http://dx.doi.org/10.1098/rsos.172250

 

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