本学大学院生野口さん、海洋コア総合研究センター山本教授、臼井教授らのマンガンクラストの磁気イメージングに関する研究が、Geophysical Research Lettersに掲載されました。

2017年6月28日

 本学総合人間自然科学研究科理学専攻の修士課程2年(当時)野口敦史さん、海洋コア総合研究センターの山本裕二教授、臼井朗教授は、国立研究開発法人 産業技術総合研究所及び金沢工業大学と共同で、マンガンクラストの磁気イメージングに関する研究を行い、その成果が2017年6月3日付、米国の学術誌Geophysical Research Lettersに掲載されました。
 マンガンクラストは資源としてはもとより、数千万年にわたる海洋環境や気候変動を記録する堆積岩としても重要と言われてきました。その正確な形成年代を決めることで、長期にわたる過去の地球環境情報の精密な復元が期待されていますが、これまでマンガンクラストの形成年代の推定には、手間と時間がかかる放射性同位体を用いる方法しかありませんでした。
 今回、国内で初めて開発された常温・常圧のもとで地質試料の磁気イメージングが可能な走査型SQUID顕微鏡を用いて、南鳥島南西方約150 kmの海山から採取されたマンガンクラストの磁気イメージングを行いました。0.1 mmの高分解能で過去の地球磁場逆転の磁気的な記録を測定することで正確な形成年代を推定し、マンガンクラストの成長速度を平均で百万年あたり3.4 mmと推定しました。また、試料に含まれる磁性鉱物の成分と量が約300万年前を境に変化したことが確認され、気候変動の影響によると推定しました。
 今後、さらにマンガンクラストの成長過程の解明をすすめ、長期間にわたる地球環境を復元することで、将来の環境変化予測に貢献することが期待されます。

 

詳細は、産業技術総合研究所HPのこちらをご覧ください

 

マンガンクラスト
 海底の露岩などの表面に殻(クラスト)のように成長する鉄とマンガンの酸化物を主成分とした岩石。

磁気イメージング
 試料の磁気により発生する磁場の分布を画像化すること。

堆積岩
 岩石が細かくなった粒子、火山の噴火によって生じた粒子、生物の遺骸、化学的に沈殿した粒子などが固結したもの。

走査型SQUID顕微鏡
 微小な検出コイルを持つ高感度な超伝導量子干渉素子(superconducting quantum interference device; SQUID)磁気センサーを用いて、試料表面のごく近くの微弱な磁場の分布を顕微鏡スケールで画像化できる装置。

 

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