【えんむすび隊】「山地酪農の牧場整備を体験しよう!」 in南国市

2019年3月1日
 寒風吹きすさぶ12月8日、土曜日。寒さに震えながらもえんむすび隊7名が南国市白木谷にお伺いしました。
 うねうねとした険しい山道をアクセル全開で登り、時には別の道に迷い込みながらも牧場に到着。牛たちと牧場主のご一家が出迎えてくださいました。
 
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 今日は6月に予定しつつも、天候不良のため中止になった本企画のリベンジです。
 高知大学岡豊キャンパスの北部に位置する「斉藤牧場」さんは、現在日本の酪農家約180,000戸に対し、数戸しかないと言われる「山地酪農」を実践する酪農家です。約25ha(東京ドームの約5倍)の放牧地には、40頭ほどの乳牛が放牧されています。
 
 この「山地酪農」とは、山の斜面を開墾、定植した日本芝を中心的なえさにし、牛の排せつ物がたい肥となって自然の循環が形成された牧場が出来上がっていく…という酪農のかたちで、牛・人・自然に対して「三方良し」の持続可能な酪農経営であると言えます。
 
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 山の斜面を見上げれば、牛たちが行儀よく並んで食事をしています。牛たちは自然のまま暮らしているため、お産の時も山の中でひとりでに出産し、その後仔牛を牧場主の斉藤さんが探しに行くことが多いのだそうです。
 
 今回、学生たちは牧場各所の整備をお手伝いし、牛乳ができるまでにどのような労力が必要か、そして山地酪農がどのようなものであるかを学びます。
 
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 あいさつの後、二手に分かれて牛舎の掃除と放牧地の間伐材収集を行います。
 現在牧場は出産ラッシュ、仔牛たちの視線に見守られながら1週間分の牛舎掃除を行います。集めたたい肥は牧草の養分とするため、自然に返します。
 
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 一方、間伐材組は3トントラック2台分の材木を集めました。牛を放牧するために拓いた山では、牛たちが延び延びと過ごす牧場にし続けるため、定期的に牧場の木々の手入れをします。昨年は道が塞がれて山を下りられないほどの嵐に見舞われた上、今年も台風が多かったので、放牧地の木々の手入れは大切な仕事。集めた材木は冬の間、斉藤さん一家の暖を取るためなどに使われます。
 
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 整備が終わると、お昼ご飯です。大鍋いっぱいの牛乳をごちそうになり、その飲みやすさとおいしさに中身があっという間になくなります。こちらの牛乳は「牛乳そのもの」を活かした風味が特徴で、そのために脂肪分を均一化させる「ホモジナイズ」という処理を行わないことや、風味を守るための「低温殺菌処理」などの処理を行っているとのことです。学生たちは普段飲む牛乳そのものについて、表示や処理の方法、違いなどの話に驚いたりしながらお昼ご飯の時間を楽しんでいました。
 
 午後からは、山地酪農についてより知識を深めます。ムービーを見せていただき、山地酪農は最初こそ大変ではあるが、長い目で見れば酪農経営として安定した形態になり得ること、斉藤牧場さんの先代からの歴史などを学ばせていただきました。
 
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 その次に、実際に放牧地を見せていただきます。案内いただきながら、牡牛は3歳を超えると急に気性が激しくなることや、牛の性格とそれに応じた接し方など、さまざまな豆知識を教えていただきました。
 学生たちは間近で見る牛に大興奮。急な斜面をすいすいと歩いていく牛に近づこうと試みる学生もいれば、じっと見つめて牛が妊娠していることに気づく学生など、それぞれの個性を発揮しながら牛に接していました。
 
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 2020年の東京オリンピックを控え、日本でも「アニマルウェルフェア」という産業動物についての取り組みが始まっています。学生たちは今回のえんむすび隊を通して、「かわいい」だけでなく、いかに生き物の命を頂いて生きているかということ、またその命をいただく上で生じる、生き物への体調管理や清掃などの責任がどれほど大事なことかを体感できたのではないでしょうか。
 この度はすてきなご縁をいただき、本当にありがとうございました。
 
 以下に、学生たちの声を紹介します。
 
●地域協働学部 3年 男性
 今回の活動に参加し、単純な労働だけでなく地域の方に話を聞くなどしていく中で、今回の主な目的であった「山地酪農」についての認識だけでなく、生き物など「生」や「食」に対する考え方に対して改めて考えなおす、見つめなおすいい機会になったように感じた。
 活動の中での気づきとしては、厳格な管理体制をしくよりも、ある程度の自由があった方が結果として双方にとって負担が少ないのではないかというように感じたことが挙げられる。もちろん、そういった段階に至るまではとても険しいものだろうが、長い目を持てば下手な管理を行うよりも、利点は多いように思った。この気づきは、今回の実習における自らの学びとなっていて、最も強く感じたことだ。
 泊まれる場所など限定的ではあるが自然を活かした宿泊地としての活用も良いと思った。
 
●人文学部 M2 女性
 牧場見学は初めてです。私のふるさとは山地が多いところです。そこで牧場を営んでいる人が少ないらしいです。確かに、広い草原がないと、酪農家を経営するのはありえないと思い込んでいる人が多いかもしれません。今回のイベントを通じて、そのような牧場の営み方にびっくりしました。環境に優しいだけではなく、牛さんたちがのんびりと山の間を行ったり来たりしているという点も山地酪農の素晴らしいところだと思います。
 
●人文社会科学部 1年 女性
 今回、斉藤牧場へ行って見学しました。午前、牛舎の掃除しかやっていなかったのに、大変疲れました。牧場の作業においてとても小さな一環でも、精一杯努力しなくてはいけないと感じました。牧場の運営の大変さが創造できるようになりました。
 また、牧場の主人である斉藤さんが、山地酪農についていろいろ教えてくれました。本当にいい勉強になりました。
 
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