【えんむすび隊】自然薯植えで中山間地域の暮らしを知る2017 in安田町中山地区

2017年5月13日
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 5月13日、土曜日。厚い雲の下、えんむすび隊は安田町中山地区を訪れました。
 安田川を河口から7キロほど上ったところにある「集落活動センターなかやま」では、耕作放棄地でのジネンジョ栽培に取組んでいます。そのお手伝いとして高知大生が初夏の植え付けに伺うことも、今では恒例になりました。今年も地域の特産の植え付けをお手伝い!…と思いきや、あいにくの荒天で断念することに。ただ、植え付けはできなくとも、ジネンジョをはじめ安田町の農産物を用いた郷土料理や、安田町の農に携わる方々の思いを学びたい。今回のえんむすび隊では、産直市見学と調理体験を通して、地域の「食」について考えます。


 9時前に到着した19名のえんむすび隊は、見学組と調理体験組の二手に分かれます。前者は、集落活動センターなかやまから徒歩10分程度にある「味工房じねん」へ。「味工房じねん」は、中山地区での採れたて野菜や特産品を主に販売する産直市。早くに完売するお手製弁当、すりおろしたジネンジョを冷凍した商品や自家製アイスクリーム、鮎などが並びます。お話を伺い、産直市の魅力と担う方々が抱える課題とに触れました。
 
 後者は、集落活動センターで地元のお母さんたちの手ほどきを受けながら、郷土料理作り体験です。野菜のかき揚げ、イタドリの炒め煮、フキに筍、リュウキュウの酢の物など、地元の食材をふんだんに使ったお料理です。お赤飯、葉山葵をネタにしたおにぎり、お稲荷さん、太巻き、田舎寿司など、この日は中山産のお米を計8升炊いたそう。「イタドリ寿司は中山に嫁いで初めて食べた」、「あの人はずっと中山の人。盛り付けもいいろう」、「昔はみんな皿鉢の器が家にあって、何日かかけてみんなで作った」と、食を通した思い出話にも花が咲き、学生たちも手を動かしながら興味深そうに聞き入っていました。
 
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 お昼は、文字通りのご馳走です。お料理の解説を伺いつつ、ジネンジョ汁やゆずジュースにも感動を覚えながら、デザートの小夏にいたるまで、美味しく楽しくいただきました。

 

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 午後は、安田町をフィールドに活動している学生団体「安田の食応援隊」が、活動報告を行いました。「安田町の食」をキーワードに、地元の方々を訪ね歩いて教わったことを自分たちなりにまとめ、地元の方々に聞いていただきます。続いて地元の方々を交えてのワークショップでは、安田町の食や郷土料理を通じて何を思い、誰にどう伝えたいかを話し合いました。「郷土料理は当たり前にあるもの」、「子どもや孫たちに食べさせたい。ただ、あまり機会がない」、「嫁いだ子どもも、作り方を知らないと思う」、「郷土料理をつくるときは、それぞれが用意できるものを備えて、材料を持ち寄る」、「みんなで作ることで、料理の勉強になっている」といった、地元の方々の声に触れました。学生たちは、安田町の食文化の継承をめぐって、生活スタイルの変化や少子高齢化の影響を感じていました。

 

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 あいにくの雨で植え付け作業はできなかったものの、学生たちは安田町の食をめぐる現状を体験し垣間見て、心を動かされたようです。お世話になったみなさま、本当にありがとうございました。

 以下に、参加した学生の声を一部ご紹介します。

●地域協働学部地域協働学科1年女子
 “郷土料理”と言っていますが、地域の人々にとっては当たり前の物なんだと気づきました。「今まで誰に伝えたいなんて考えたことなかった」とおっしゃっていて当たり前の生活だったものが失われている現実が悲しいなと思いました。郷土料理を通して「あの山菜採ってくるよ」「保存してる分があるからあげるよ」といった地域の人々同士のつながりを知ることができ、安田町の魅力を感じることができました。

●農林海洋科学部農林資源環境学科1年女子
 地域の方が子や孫へと郷土料理を伝えたくても、一緒に作る時間や機会や郷土料理をふるまう機会も昔と比べ減少していることを知りました。また、地域の方々が私達におもてなしの心で「これを是非食べて欲しい」「食べさせてあげたい」という想いが込められて郷土料理が作られていることに気が付きました。
 私は、郷土料理が伝えられにくい原因は、食の洋食化が主だと思っていましたが、社会環境により、地域で自分の子供が就職して定住したり、一緒に暮らす人が少なくなったことも原因だと学びました。

●教育学部学校教員養成課程4年男子
 今回の活動に参加して、地域の方が自分の住んでいる地域の食文化についてどのようなことを考えているのかを聞く機会になりました。地域の方は郷土料理について「当たり前のようにそばにあるもの」という印象に対し、私たち学生は「時代とともに変わることと変わらないこと」という意見が出ました。例えばじねんじょ汁に鶏肉は入れるべきなのかどうかという点では鶏肉を入れることによって子供達から大人までどの世代にも通用するのではないかと思いました。しかし、じねんじょの味を楽しみたい人にとってはどうなのかという意見が出ました。もてなす相手によって郷土料理は変わっていくのではないかと考えました。どんなことを伝えたいかという話し合いにおいて「伝統料理のレシピ」と「僕たちのために作ってくれてあというおもてなしの心」という2点が出てきました。私は、後者のおもてなしの心を大事にして学校現場で伝えることができるような地域と共にある学校づくりができるような働きかけをこれから考えていきたいです。

●農学部農学科3年女子
 今回は農作業が雨天のため出来なくなり、少し残念だなあと思ったのですが、地域のお母さん方と一緒に昼食を作る機会ができとても良い経験になりました。というのも、高知の郷土料理やおきゃくの文化は一人では準備出来ないものばかりだと思っていて、地域の人が集まって同じ料理を作ることが食文化の一つのキーワードだなと感じているからです。そしてそれを地域の人と学生で共有できることがとても良い時間だったなと思いました。

 

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